私が敢えて思想を"支持"するという哲学態度を取る理由
哲学とは、私たちを支配する基準や価値観を問い直し、再構築していく行為である。
そういった意味では、ある思想を支持もしくは信奉するという行為は、非哲学的営みと言えるかも知れない。なぜならば、そこには"問い直す"営みが認められないからである。
しかし批判中心の態度は、意志決定ができないという事態もまた招くことになる。これはかつては許されたことかもしれない。しかし、知識が上位階層の独占から解き放たれ、だれもがアクセスできるようになった現代においては価値を有さない。
いわゆる人文系学問を軽視する昨今の傾向は、知識を有するということの価値が変わってきた結果とも言えるのではないか。そしてそうであるならば、人文系学問が生き残る方途はひとつ。"批評家"であるにとどまらず、暫定なりにも答えを提示することである。
意志決定のよすがとしての思想を打ち立てるべく、私は敢えてここで、欠陥が認められても、いま支持する思想というものを提示するのである。